厳しい時期(不況期): 欧州不動産の利回りはピークに達したのか?
インフレ率が低下傾向にある中、金利不安に対するピークが過ぎ、欧州不動産市場のサイクルの谷に近付いていると思われます。欧州不動産市場の投資機会に与える影響について、ベアリングスの不動産チームが解説します。
経済
- 米国とユーロ圏では第2四半期にインフレ率が低下し、金利動向にとってはサポート要因となりました。
- 生活コストの上昇と金利の上昇が依然として経済成長の足かせとなっており、調査データもまた、今後の軟調な展開を示唆しています。
- 通常、ヘッドライン・インフレとコアインフレの目標値への低下にはタイムラグがあります。
- 金利不安に対するピークが過ぎ去ったことから、不動産市場の価格にとってプラスに働くことが期待されます。
不動産市場
- インフレと金利に対する懸念が上昇した結果、昨年の不動産投資の取引活動は急減しました。
- REIT価格は依然としてボラタイルではあるものの、エネルギー危機の最盛期に記録した安値を大幅に下回ってはいません。
- 景気後退のペースが緩やかになれば、景気サイクルの谷が見えてくると思料されることから、買い手が市場に戻ってくる可能性があります。
- 価格は、バリュエーションに基づく数多くの不動産インデックスに未だ反映されておらず、これは各地域の市場慣行によって異なります。
- オフィス賃貸の見通しは、依然としてESG評価がトップクラスの物件が最も優れています。このタイプのオフィス・スペース不足の傾向は、今後数年で強まると思料されます。
- 物流案件における賃料の伸びは伝統的に景気サイクルを追随しているものの、2015年以降の堅調なeコマース「革命」により、同セクターは経済の低迷期の影響を受けることはありませんでした。
- 質の高い教育機関にサービスを提供し、高い賃料の支払いを厭わない富裕層の海外留学生を惹きつける学生寮専用施設(PBSA)は、引き続き最も人気が高いセクターとなっています。