2025年の展望:グローバル不動産
変化する環境下、投資家が今後1年間にグローバル不動産市場で直面すると思われる課題および投資機会について、ベアリングスの不動産デットおよびエクイティの投資プロフェッショナルが討論します。
ジョン・オッカーブルーム(モデレーター):米国では、来年新政権が誕生します。この変化が不動産市場に与える影響について、お聞かせください。
ナシル・アラムギル:選挙が終了したばかりですので、ドナルド・トランプ氏の選挙前の発言がどの程度政策に反映されるかを判断するのはまだ難しいと思われます。北米では、行政機関が今後の金融政策にどれほどの影響力を持つのかは大きな未知数のひとつですが、私は、監視が強化されると主張したいと思います。それが市場にとって何を意味するかは予測が難しいものの、様々な理由から、インフレ圧力が強まることが予想されます。
規制緩和、あるいは「再規制強化の見直し」も、次期政権である「トランプ2.0」では可能性が高いと思われ、これは最終的に広範な資本市場を下支えする可能性があります。これは特に銀行に関して言えることで、銀行システムにおける買収や借り換えの資金調達のための流動性が改善されることは不動産や経済全体にとって健全であると思われます。再度の規制強化の見直しは、銀行が保有する、満期を迎えた不良債権の処理方法にも影響を与える可能性が高いと思われます。具体的には、銀行は問題のある債権の対応により時間をかけることが可能になるかもしれません。結局のところ周知の通り、銀行は不動産市場が機能するために不可欠な存在であり、直近2年間は市場からほぼ存在感を消しています。そのため、規制緩和、もしくは再規制強化の見直しは様々な形で執行されると思われますが、一部の問題債権に対する資本緩和は不可欠なものの一つとなると見ています。
ニック・ピンク: 欧州では、不動産市場への影響は、トランプ次期大統領の関税措置の範囲および詳細によって大きく左右されると見ています。欧州および米国の貿易の大半はサービス・セクターであり、現時点では関税の対象となっていないと思われます。むしろ、製造業に焦点が当てられており、つまり、ドイツなどの国は自動車が主要な産業であることから、多くの経済的困難に直面する可能性があります。この影響により、同国の不動産市場で確認される困難な状況がさらに悪化する可能性もありますが、今後12ヶ月間はオポチュニスティックかつ興味深い取引が複数散見される可能性があると見ています。