欧州不動産:回復基調に
欧州不動産市場の回復ペースは、立地や物件タイプによる負債調達ギャップのばらつきに左右されると見ています。市場全体の投資機会がどのように形成されているかについて、ベアリングスの不動産チームが解説します。
経済
- 高い金利は家計と企業に引き続き重くのしかかるものの、低いインフレ率は実質所得のプラス成長を意味しており、消費者主導の緩やかな回復が依然期待されています。
- 調査データによると、成長見通しは依然として微妙なバランスを保っており、サービス・セクターは堅調である一方、製造業は軟調に推移しています。
- インフレ率の低下は、欧州中央銀行(ECB)が段階的に利下げを開始するという決定を後押ししているものの、現在のところ、年内に実施される利下げはあと2回にとどまると予想されています。
不動産市場
- 不動産市場の回復ペースは、立地や物件タイプによる負債調達ギャップのばらつきに左右されると見ています。オフィス・セクターやドイツ、スウェーデン市場は遅れをとる可能性があります。
- 空室率の上昇と賃貸活動の低迷にもかかわらず、入居者の質への逃避によりプライム・オフィス賃料は依然として上昇しています。
- 実質賃金の上昇やオンライン・コストの上昇、フルフィルメント(受注から配送までの一連の業務全般)に対する不満による消費者のリバウンド、さらに歴史的に低水準の新規開発により、実店舗の需要は下支えされる可能性があるものの、eコマース拡大の逆風には依然として見合っていません。
- 物流セクターの減速は、主にGDPに起因しています。マクロ経済回復の兆しはすでに現れており、入居者の回復はすぐ後に続くと見ています。
- 欧州の住宅価格は金利ショックに著しく強いことが証明されたものの、その一因は労働市場の逼迫と名目賃金の上昇に加え、住宅ローンが固定金利に移行したことにあります。