欧州不動産:反転攻勢の始まり
中央銀行の次なる動きはデータに大きく左右されるものの、金利の方向性および不動産の利回りは2024年も低下傾向にある可能性が高いと思われます。欧州不動産における投資機会および課題がどのように形成されるのか、ベアリングスの不動産チームが議論します。
経済
- ユーロ圏経済は、金利が上昇するにつれて、穏やかでテクニカルな景気後退を回避しています。
- インフレ率の低下と経済活動の鈍化により、2024年の利下げを下支えしています。
- 在庫の積み増しと消費者の回復により、今年後半には緩やかな回復が始まると思料されます。
不動産市場
- 長期的見通しが最良のセクターおよび地域において最も低い利回りとなっている資産が、最も大きな痛手を被りました。
- 短期間かつ比較的深度の浅い賃貸サイクルの減速により、2度目のリプライシングは十分ではなく、不動産利回りをさらに押し上げる可能性が低くなっています。
- 地域およびセクターによる不動産価格回復のタイミングは、不動産デットのリファイナンス資金ギャップの変動と一致する可能性が高いと思料されます。
- オフィス:中心業務地区(CBD)の空室率の上昇とグレードAへの需要シフトにより、最良クラスのスペースの賃料プレミアムが拡大することを示唆しています。
- 小売り:見通しは改善。オムニチャネル(実店舗や通販サイトなど、あらゆる流通ルートを連携させ、顧客が最適な方法で商品を購入できるようにする)の試行が増加すると見ています。
- 商業:年間新規貸付面積(テイクアップ)と賃料の伸びは緩やかであるものの、記録的な水準にあるため、構造的な追い風により引き続き下支えされます。
- 住宅:金利上昇の影響が住宅価格に遅行して波及しています。失業率が大幅に上昇しなければ、住宅価格の緩やかな調整が常に予想されていました。