欧州不動産:過度な引き締めによる潜在的リスクの可能性
さらなる不動産価格の低下が依然として継続している一方、テクニカル的に見ると不動産サイクルの谷は過ぎています。同資産クラスにおける投資機会および課題について、ベアリングスの不動産チームが解説します。
経済
- 反動的な金利上昇によってユーロ圏経済は低迷を続けています。
- エネルギー価格が再び不安定になったにもかかわらず、ユーロ圏のインフレ率は安定した下降基調を継続している一方、英国では引き続き粘着性を有していることが確認されます。
- 欧州中央銀行(ECB)のハト派的なコメントと対照的なのが、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な「より高い水準でより長く(higher for longer)」というスタンスです。
不動産市場
- さらなる不動産価格の低下が依然として継続している一方、テクニカル的に見ると不動産サイクルの谷は過ぎています。
- 不動産価格の低下による利回り上昇の動きは投資のファンダメンタルズの実態を反映しておらず、最も優れたセクターや資産において最もネガティブ・リプライシングが見られています。
- 次の不動産サイクルに備えて資金の投入が可能である投資家にとっては、大きな投資機会が生じてきました。
- 金利が今後も長期にわたって上昇が続くと、調整局面がさらに深まると思料されます。
- オフィス・セクター:経営陣は従業員のオフィス復帰を強く望んでいるものの、欧州で深刻化するオフィス・セクターの衰退に根強い懸念が生じています。
- 小売セクター:2023年前半の小売店舗の空室率は安定しているものの、店舗の整理が進むにつれ空室率は上昇すると思料されます。
- 産業セクター:産業用不動産市場のファンダメンタルズは引き続き良好であり、緩やかなペースではあるものの、今後の賃料成長率にポジティブに働くと見られます。
- 住宅セクター:賃貸住宅物件不足は緩和されそうになく、新規計画は遅延し、住宅ローン金利の上昇が購入希望者にとって足かせとなっているものの、賃料の成長見通しは引き続き堅調です。