アジア株式:明るい未来の可能性
堅調な先進国市場に下支えされたアジア全域の国内状況の改善により、今後のアジア株は良い兆候を見せると思われます。
不調だった昨年の市場の回復が期待され、アジア全域で構造的な成長テーマが継続的に支持されていることから、今後のアジア株に前向きな見通しを持っています。特に、成長率は長期トレンドに引き寄せられ、先進国市場を上回る可能性もあると予想しています。加えて、欧州および米国の経済回復も先進国市場の需要のわずかな改善につながると思われる一方で、主要中央銀行による金融引締め政策の転換が予想より遅れるとしても、米ドルの下落とともに、世界の流動性とアジアの企業収益を下支えするものと思われます。
幅広い投資機会
中国財政刺激策はこれまでのところ市場の期待に沿うものではないものの、政府の消極的な財政支出は最悪期を迎えたと思われます。中国の消費刺激を目的とした消費者向け下取りプログラムの展開や、効率向上のための設備更新、輸出企業を支える底堅い外部環境とよりハト派的な流動性環境が相まって、今年はポジティブなカタリストとなる可能性があります。同時に、不動産セクターが株式市場に与えるマイナスの影響は、昨年よりも弱まると思われます。
インド経済の回復力は実証済みで、今後数年間は堅調な構造的成長が見込まれます。株式市場は、主に国内投資家の旺盛な買いにより下支えされているほか、与党の再選が見込まれることから、政策の継続性も確保されると見ています。加えて、多くの業績好調な企業統合が進む可能性もあり、潜在的な投資機会がもたらされると見ています。
韓国および台湾では、人工知能(AI)とAI関連ビジネスの構造的成長が多くの企業に恩恵をもたらすと思われます。足下では、バリュエーションの観点から台湾の一部銘柄の利益を確定しました。一方、日本において東京証券取引所などが進める市場改革に触発されて、韓国当局が上場企業の価値向上策を発表し、株主還元とガバナンスの改善に向けた企業の自主的な取り組みを支援しています。この取り組みは、投資の奨励や株主還元の改善、積極的なバリュエーション再評価の支援を目的としています。
インドネシアおよびフィリピンについては、収益成長へのハードルが取り除かれたため、前向きな見通しを維持しています。インドネシアの選挙が早期に完了したことは、政策の継続性と事業活動の再開をもたらすと思われます。加えて、堅調な内需と慎重な財政・金融政策は、インドネシアの長期的な構造成長にとってプラスとなります。フィリピンでは、インフレ率の緩やかな上昇が収益の伸びを支えると見ています。シンガポールとマレーシアでは、世界的な情報技術サイクル、特にハードウェア・テクノロジーの恩恵を受ける企業が複数見出されています。2023年以降のタイの低調なパフォーマンスは、主に政策の不確実性と中国人観光客の回復の遅れによるものでした。これらの要因は、財政支援の復活とともに、今後数ヶ月で改善する可能性が高いと見ています。
今後の投資アプローチ
アジアにおける投資機会は幅広いことから、ボトムアップかつ規律ある銘柄選択アプローチが重要となります。あらゆるもののデジタル化や接続性を意味するテクノロジー・ユビキタス、持続可能性やミレニアル世代・ Z 世代の消費動向、健康的な生活などを含む進化するライフスタイルおよび社会的価値観、サプライチェーンの多様化やリショアリングなどの脱グローバル化などの主要な成長テーマに対するエクスポージャーを有するアジア企業に引き続き価値を見出しています。スタイル・ローテーションが市場全体のボラティリティを引き起こしている一方で、「成長性から見て株価が割安な銘柄」(Growth at a Reasonable Price、GARP)というベアリングスの株式投資哲学により、長期的に見て確信度の高いポートフォリオ構築が可能となっていると確信しています。
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