アジア株式を下支えしているものは?
主要中央銀行が利下げサイクルを開始し、国内の追い風が各地域を下支えしているため、アジア株式には説得力があります。
今日のマクロ経済状況に基づくと、今後数ヶ月間のアジア株式に対し、より建設的な見通しがもたらされています。例えば、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切ったほか、欧州中央銀行(ECB)もすでに利下げしたことから、アジアの中央銀行は国内情勢に基づいた金融政策の調整が可能となり、実質金利の緩やかな低下により株式市場全体の下支えとなると考えます。先進国市場を上回ると予想されるアジア経済の長期的なトレンドが、経済成長率を牽引すると考えます。
各地域における投資機会
市場全体を見渡すと、各地域で潜在的な投資機会が生じています。中国では、一連の集中的な景気刺激策発表が期待されていました。既存住宅ローンの金利の引き下げ、中国人民銀行(PBOC)による株式市場の活性化を目的に創設された流動性供給措置のスワップ制度、大規模な財政政策は、政府が経済のより困難な分野に焦点を当てていることを示唆しています。これらの措置がファンダメンタルズに反映されるには時間がかかると思われるものの、中期的には強力な競争力を有する数多くの企業が再評価される可能性があると考えます。
また、インドの構造的な成長プロファイルからインドに対するポジティブな見通しを維持しています。インドが国内経済の発展に重点を置いていることは、米大統領選挙を控えたテールリスクである地政学的なセンチメントの変化に対する脆弱性を軽減します。インド株式のバリュエーションが全体的に魅力が低いものの、堅調な収益成長と割安なバリュエーションを有する企業を見極め、引き続き選別的な投資機会を見出します。
数多くの投資家が、短期的な需給調整に伴い人工知能(AI)主導のハードウェア・セクターに対するエクスポージャーを削減したものの、同テーマに対する長期的な構造的需要により、特に韓国と台湾のようなアジアの主要サプライチェーンの受益者は下支えされると思われます。この傾向は、短期的には供給能力が限られているため、引き続き企業収益を牽引すると思われ、競争力を有する企業は価格を引き上げると予想されます。健全かつ長期的な見通しを踏まえると、バリュエーションに魅力が生じれば、同セクターに対するエクスポージャーを積み増すことを考えています。
東南アジア諸国連合(ASEAN)では、マクロ経済の追い風が、特にインドネシアとフィリピンにおいて、強力な国内の構造的機会をもたらしています。これらの国では、地元企業が実質金利の緩和から恩恵を受けると思われます。タイでは、政治的な懸念がほぼ薄れ、政府による給付が開始されることから、今後数ヶ月における消費の回復が期待されています。
投資アプローチ
アジアには多様な投資機会があるため、規律あるボトムアップの銘柄選択アプローチが重要となります。あらゆるもののデジタル化や接続性を意味するテクノロジー・ユビキタス、持続可能性やミレニアル世代・ Z 世代の消費動向、健康的な生活などを含む進化するライフスタイルおよび社会的価値観、サプライチェーンの多様化やリショアリングなどの脱グローバル化などの主要な成長テーマに対するエクスポージャーを有するアジア企業に引き続き価値を見出しています。スタイル・ローテーションが市場全体のボラティリティを引き起こしている一方で、「成長性から見て株価が割安な銘柄」(Growth at a Reasonable Price、GARP)というベアリングスの株式投資哲学により、長期的に見て確信度の高いポートフォリオ構築が可能となっていると確信しています。
3989871