香港・中国株:今後の収益成長見通しは?
中国当局による支援策および米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げサイクルの開始は、香港・中国株にとってサポート材料となる一方、国内および世界の不確実性は依然として残っています。
今日、香港・中国株を形成する複数のテーマが確認されます。ひとつは、中国政府が支援策強化を表明したことで、市場は今後数ヶ月間の景気刺激策が経済に与える潜在的な影響を注視しています。足元の中国の景気刺激策は、協調的かつ集中的であり、投資家センチメントを後押ししています。また、低いベースおよび市場の低いバリュエーションから、今後の収益成長を支える可能性もあります。
FRBの利下げサイクルの開始も、新興国株式にとって広範なサポート材料となると思われます。このため、中国人民銀行(PBOC)をはじめとする他の中央銀行も、国内経済を支援するための金融政策の実施が可能となりました。同時に、米国および欧州の労働市場は底堅さを維持しているため、中国の輸出に対する需要を維持する可能性が高いと見られます。
サポート材料はあるもののリスクは依然として存在
中国では、今回の支援策における注目すべき相違点のひとつは、既存の住宅ローンの金利引き下げや買い替え需要に対するリベート、PBOCのクレジットラインを利用して株式市場に投資する機関投資家に対する資産スワップなど、経済問題の主要分野に焦点を絞った支援策が講じられていることです。これらは中国経済再生の核心課題である投資と消費の活性化が狙いとなっています。しかし、こうした政策が実体経済に浸透するには時間を要すると思われ、企業のファンダメンタルズも今後数ヶ月は逆風に直面する可能性があることから、収益成長の回復は来年以降になると思われます。これら支援策の直接的な受益者である企業、特に消費財や不動産セクターの企業は、潜在的なアウトパフォームの有力候補と見られています。
このようなサポート材料がある一方、逆風も見られます。中国で最近導入された支援策の最も具体的な部分は、流動性問題に対処する金融政策に主眼が置かれています。政府は特別国債の発行を財源とする大規模な財政政策を示唆したものの、その詳細はいまだ不明であったため、失望が市場センチメントを揺さぶる可能性があります。対外的には、地政学の不確実要素が継続しているため、リスクも依然として残っています。米大統領選挙や欧州連合(EU)の関税、東欧および中東における紛争も注視すべき要因であり、短期的にはボラティリティが継続する可能性があります。しかし、中国政府による広範な景気刺激策を考慮すれば、こうした短期的に軟調な市場環境においては、香港・中国株への投資を見直す好機となると考えます。
バリュエーションは引き続き魅力的
経済が徐々に正常化するにつれ、ボトムアップの観点から、魅力的な価格と強固な構造的成長機会が見出されており、今後数ヶ月において相対的なパフォーマンスにプラスに貢献すると思われます。持続可能な成長やサプライ・チェーンにおける自給自足、科学技術の革新、環境への配慮といった構造的なトレンドは今後も継続すると見ています。そのため、中長期的には、新たなインフラや国内消費、ヘルスケア、技術の現地化、持続可能性といったセクターやテーマに対する堅調な見通しにつながると思われます。
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