香港・中国株:魅力的なバリュエーションと収益成長の余地
企業のファンダメンタルズは改善傾向にあり、政策のポジティブ・サプライズの可能性もあることから、今後数ヶ月の香港・中国株に対して建設的な見通しを持っています。
今年も後半に入り、市場は、中央委員会第3回全体会議(3中全会)とそれに続く中央政治局会議での決定が、中国の中長期的な経済政策にどのような影響を与えるかに注目しています。3中全会はパンデミックから正常に戻ったしばらく後に開催され、今年は政策支援が徐々に強化されています。政府の経済安定化優先の姿勢が市場のバリュエーションに反映されているものの、その期待値は低いことから、政策のポジティブ・サプライズが起こる可能性があると見ています。
加えて、低いベース効果を考えれば、企業のファンダメンタルズは今後数ヶ月で改善する可能性が高いと見ています。最近導入された株式市場改革は、上場要件の強化や投資家の利益保護を奨励するものとなっています。これは公開株式市場の全体的な質の向上に役立ち、流動性よりもファンダメンタルズに投資家の関心が移ると思われます。IPOの件数も増加し始め、中国企業の中でも質の高いエクスポージャーを有するパイプラインが提供されるようになると見ています。
流動性と相対的なバリュエーションに基づく年初の急落とその後の反転上昇を経て、現在は安定化局面に入ったと見ています。政府の優先政策により、特に中国や世界の構造的トレンドから、あるいはファンダメンタルズの大幅なミスプライスから恩恵を受ける可能性のある企業において、収益拡大の道が開かれる可能性があると思われます。
とはいえ、特に地政学リスクなど、複数の外部テールリスクは依然として存在しています。米大統領選挙に向け、中国は制裁と封じ込めを求める声が高まり、センチメント主導のボラティリティが上昇する可能性があります。欧州では、右派政党の相対的な強さが摩擦の激化につながる可能性もあります。しかし、注目すべき点は、中国の新興国向け輸出比率が一貫して上昇しており、影響をある程度緩和するのに役立つと思われます。
魅力的なバリュエーション
バリュエーション面では、香港・中国株は現在、過去のレンジの下限で取引されており、長期投資家にとって魅力的なエントリー・ポイントとなる可能性があります。経済が徐々に正常化するにつれ、ボトムアップの観点から、魅力的な価格と強固な構造的成長機会が見出されています。持続可能な成長やサプライ・チェーンにおける自給自足、科学技術の革新、環境への配慮といった構造的なトレンドは今後も継続すると見ています。そのため、中長期的には、新たなインフラや国内消費、ヘルスケア、技術の現地化、持続可能性といったセクターやテーマに対する堅調な見通しにつながると思われます。
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