アップデート:ハイイールド債券および優先担保付ハイイールド債券

2021年4月 – 3 分 レポートを読む
ベアリングスのグローバル・ハイイールド・チームが、ハイイールド債券および優先担保付ハイイールド債券に関する直近の状況について解説し、金利上昇やインフレなどの要因が今後の市場に与え得る影響について考察します。

米国の10年債利回りの上昇とインフレに対する懸念がハイイールド債券市場に与える影響は?

一般的にハイイールド債券市場におけるデュレーションは相対的に短いことから、他の債券資産と比較して金利感応度が低い状況にあります。実際、ハイイールド債券と米国債における過去の相関関係は低く、場合によってはマイナスとなる時期もあります。また、金利上昇局面においては、しばしば高い成長率やインフレ期待が高まっている状況にあることも注目に値します。このようなリフレーションの環境下においては、歴史的に見てもハイイールド債券にとって好ましい状況であり、スプレッドの縮小や資産クラスのパフォーマンス向上をもたらす可能性があります。
 

新型コロナウイルスの感染拡大以降、ハイイールド市場の発行体はどのような状況にありますか。また、現在、特に魅力的なセクターはありますか?

2020年3月に到来した大きな市場下落を経て、金融市場および資産価格は全般に亘り大きく回復し、ワクチン開発に関連したポジティブなニュースが2020年末にかけて更に市場全体を牽引しました。様々な企業がロックダウンもしくはサプライチェーンの途絶から引き続き影響を受ける中、中央銀行による緩和的な金融政策と各国政府による大規模な財政出動は、世界経済に必要な支援策を提供しました。ハイイールド市場の発行体もまた、短期で満期を迎える債務の借り換えや資金繰りを確保するための資金調達を行うことが可能であり、新型コロナウイルス関連の混乱を乗り切るための時間的猶予を短期的に獲得しました。 

今日の市場においては、相対価値の観点に基づき、景気変動の影響を増幅させる効果を持つ旅行およびレジャー・セクターについて、バリュエーションが魅力的であることから前向きな見通しを持っています。また、これらのセクターは、先進国における財政刺激策(個人消費を引き続き牽引する)から恩恵を享受できる立場にあり、経済の再開に伴い十分な成長の可能性を秘めていると考えます。
 

現在の環境下においては、ハイイールド債券よりも優先担保付ハイイールド債券の方がより魅力的であると思いますか? 

この2つの市場は、投資対象が若干異なるだけでなく、基本的な投資ユニバースにも大きな違いがあります。例えば、グローバル優先担保付ハイイールド債券は欧州市場の割合が多い一方、無担保ハイイールド債券市場は米国市場の割合が多い傾向にあります。セクター別に見ると、グローバル優先担保付ハイイールド債券は旅行・レジャーなどのセクターの割合が多い一方、無担保ハイイールド債券はエネルギーなどのセクターへの割合が多くなっています。 

また、グローバル優先担保付ハイイールド債券はデュレーションがやや短く、金利感応度が小さい傾向にあります。同時に、優先担保付ハイイールド債券は、企業の資本構造において劣後債や株式よりも上位に位置し、不動産や企業の設備から、ソフトウェアおよび商標などの無形資産に至るまで、発行体の担保資産もしくは何らかの形態を伴った資産によって保護されています。究極的には、企業が債務不履行に陥った場合、優先担保付ハイイールド債券の保有者に対する支払いは優先され、資本構造上下位に位置する債権者よりも先に返済されることになります。
 

今後、ハイイールド債券および優先担保付ハイイールド債券市場が直面する最大のリスクは? 

新型コロナウイルス感染拡大に関して注視すべきリスクは、ワクチンの有効性(特に変異種に対する)および世界各地におけるワクチンの普及と接種に関する状況です。米国、英国、中東の一部などの市場においては、国民によるワクチンの接種が大幅に進んでいますが、一部の地域においては遅れが生じており、結果、経済活動の再開に対して影響を及ぼす可能性があります。

また、資産価格の回復が継続するための条件として、世界各国における政策当局が引き続き支援策を講じることが前提となります。例えば、金融引き締め政策によって金融市場に対する流動性の供給を早期に止めた場合、市場に悪影響を及ぼす可能性があります。また、長期金利の急激な上昇やインフレ期待が高まった場合においても、ボラティリティが高まる可能性があります。しかしながら、前述のように、ハイイールド債券は金利感応度が低い傾向にあることから、金利上昇およびインフレ期待が制御可能な水準に留まり、プラスの成長率が期待できる状況においては、ハイイールド債券を取り巻く環境は引き続き良好であると考えられます。

当資料は、ベアリングスLLCが作成した資料をベアリングス・ジャパン株式会社(金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第396号、一般社団法人日本投資顧問業協会会員、一般社団法人投資信託協会会員)が翻訳したもので、金融商品取引法に基づく開示書類あるいは勧誘または販売を目的としたものではありません。翻訳には正確性を期していますが、必ずしもその完全性を担保するものではなく、 原文と翻訳の間に齟齬がある場合には原文が優先されます。当資料は、信頼できる情報源から得た情報等に基づき作成されていますが、内容の正確性あるいは完全性を保証するものではありません。また、当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれらが変更されたり修正されたりすることがあります。 Complied (東京):2021年4月26日 M20212Q22

Martin Horne(マーティン・ホーン)

パブリック資産 グローバル責任者、ベアリングス欧州責任者

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