高まる投資妙味:私募債およびインフラストラクチャー・デット
私募債やインフラストラクチャー・デットなどの非流動性資産クラスは、追加的なリスク調整後リターンを提供するだけでなく、その他数多くの魅力的な競争優位性を投資家に提供することが可能です。
機関投資家は、私募債やインフラストラクチャー・デットなど、流動性の低いプライベート市場への投資をより一層検討するようになっています。特に保険会社や年金基金にとって、こうした市場は、パブリック市場に対する非流動性プレミアムの獲得のみならず、分散投資の強化や市場変動に係るリスクへの対応、ALM特性といった、多くの潜在的なメリットの享受が可能となります。
要因分析の定義
私募債
私募債は基本的に適格機関投資家(QIBS)にのみ販売される債券およびローンであり、証券取引委員会に登録する必要はありません。歴史的に投資適格市場である私募債は、REITやスポーツ関連取引、金融から、ストラクチャード・ファイナンス、クレジット・テナントリース取引、航空取引などの複雑な商品に至るまで、伝統的な企業以外にも様々な分野に広がっています。一昔前の私募債市場は、銀行融資を補完するための資金調達を目的とした中小企業が主体でした。しかし、現在では、多くの大企業が、資金調達の目的を達成するためのもう一つの手段として、私募債市場へのアクセスを選択するようになりました。
図1:私募債およびインフラストラクチャー・デットの主要特性とパブリック債券との比較
出所: Barings 2022年4月末現在
インフラストラクチャー・デット
インフラストラクチャー・デットの定義は幅広く、資産運用会社や銀行、投資家の間で大きく異なる場合があります。ベアリングスでは、特定の資金調達構造よりも、キャッシュフローを生み出す資産を中心に定義しています。主に、重要な社会的・経済的ニーズを満たし、投資家に対して安定的かつ長期的なキャッシュフローを生み出す可能性のある、以下のような資産に着目しています。
インフラストラクチャー・デット市場は、かつては銀行のみが参入可能な市場でした。以前は、機関投資家がインフラストラクチャー・アセットにアクセスする場合、プライベート・エクイティ・ファンドへのアロケーションを通じてアクセスするのが一般的でした。しかし、世界金融危機と欧州債務危機がきっかけとなり、同市場は大きく変化しました。特に米国では、銀行は依然としてアレンジャーとしての役割を担っているものの、欧州ほどには市場のウェイトを占めていないのが一般的であるため、機関投資家である弊社のようなアセット・マネジャーがそのギャップを埋めることができました。