正常化へ慎重な日銀も、YCC修正の可能性は十分
新総裁就任後の日銀の金融政策の方向性について、ベアリングス・ジャパン先進国ソブリン債券チームのポートフォリオ・マネジャーである菅原崇博が解説します。
4月末、日銀の植田総裁が就任して初めての金融政策決定会合が開催された。黒田前総裁による10年間の異次元金融緩和を経ての総裁交代ということで、就任前から政策転換への期待が高まっていた。日本の消費者物価指数(CPI)が日銀の物価目標の2%を上回って推移するほか、大企業の春闘賃上げ率が30年ぶりの高い水準になるなど、日銀が望む物価と賃金の好循環が実現したかのように見えた。しかし、政策修正への期待は次第に薄れ、4月の会合で政策変更はなかった。それどころか、日銀は「展望レポート」で、2025年度のコアCPI1について、目標の2%を下回る1.6%とする新たな見通しを発表した。