ベアリングスの「5つのインサイト 2024年春」
ベアリングスの「5つのインサイト 2024年春」について、先進国ソブリン債券チームが解説します。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、利下げ開始を織り込む債券市場をけん制する姿勢を後退させ、2024年3月の議会証言でパウエルFRB議長は「今年のある時点から利下げを始めるのが適切になる」という見解を示し、利下げの時期と頻度、幅が市場の焦点となっています。また、欧州中央銀行(ECB)は、政策金利を高めで維持する効果を見極める姿勢を維持しつつも、3月に開催されたECBウォッチャー向けのコンファレンスで、6月の利下げ開始を示唆しました。欧州発の軟調な経済データを見る限り、ECBがFRBに先んじて利下げを実行する可能性は相応に高いものと想定されます。
視点をアジアに転じると、中国では、不動産業の不振が金融政策で対処できる範疇を超えて一段と深刻化しており、国内需要の脆弱さを輸出で賄おうとする中国発のデフレの輸出が世界経済に与える影響が懸念されます。一方、日本では、株価が最高値を更新し、2024年(令和6年)の春闘の「第1回回答集計」では33年ぶりとなる5%超の賃上げ率が示され、日本銀行は波乱なくマイナス金利解除、イールドーカーブ・コントロール(YCC)撤廃に成功し、これまでの異次元な金融政策を普通の金融政策に修正し、短期金利を操作目標に据えました。
2024年春のベアリングスの5つのインサイトでは、各国で予想される金融政策の経路を探りつつ、それらの市場への影響および今後の展開を展望しながら、グローバル債券投資戦略の5つの柱をお示しします。
- 金融政策の転換:各国の道のりは違えど
- 物価安定の確度はまちまち:下落スピードを測る
- スティープ化の再来:Make Yield Curves Steep Again
- デフレを輸出する中国:収支悪化は習氏が原因
- 正常化に向かう日銀:ゼロより上だ
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