2022年 経済見通しラウンドテーブル
2022年もグローバル経済の回復は続くと思われますが、サプライチェーンの混乱や長引く物価上昇など、様々なリスクが存在します。当ラウンドテーブルでは、これらの問題をトップダウンとボトムアップの両面から分析していきます。
クリストファー:不確実性や未知のものが数多くありますが、先進国市場においては1年前と比較してパンデミックが収束しつつあるようです。アレクサンドラ、先進国とエマージング諸国におけるワクチン接種の状況とロックダウンの可能性に対するリスクについて教えてください。
アレクサンドラ:免疫回避の水準が著しく高い新たな変異株が出現しない限り、現在はワクチンを接種した人口の割合が比較的高いことから、先進国市場における大規模かつ長期に及ぶロックダウンのリスクはかなり低いと考えています。一方、エマージング諸国における状況はあまり明確ではありません。2022年には、世界全体においてワクチン接種が可能となる量が生産されると思われますが、ワクチンの配布や腕への接種という点では、複数の懸念点があります。新型コロナウイルスの感染が拡大している国々の市場では、ある種の集団免疫に達しつつあります。
クリストファー:リカルド、各国政府が金融・財政両面における緩和政策の縮小を検討している中、2022年の世界的な需要のモメンタムについて説明してください。
リカルド:米連邦準備制度理事会(FRB)は、デュアル・マンデート(「物価の安定」と「雇用の最大化」)に係るインフレ目標を効果的に達成したと発表しました。そのため、2022年には自立的な成長が見込まれており、グローバル経済およびエマージング市場にとって非常に好都合です。しかし同時に金融緩和の縮小も行われています。先進国の主要な政策立案者は、金融緩和の大幅な縮小はないと示唆しているため、エマージング市場には、同ウイルスのワクチン接種の接種完了もしくは先進国市場のように同ウイルスの脅威に対する大きな進展を遂げるための時間的猶予がある可能性があります。
また、見落とされがちですが、グローバル貿易は2008年から2020年まで低迷していたものの現在はかなり活況を呈しており、世界経済とエマージング市場双方のサポート要因となっています。