2024年5月のベアリングス世界景気循環図
投資判断の材料の1つであるベアリングス世界景気循環図について、ベアリングス・ジャパンの先進国ソブリン債券チームが解説します。
2024年5月の顕著な変化では、中国が景気減速局面から、ノルウェーが景気後退局面から、ともに景気拡大局面へと移りました。各国で製造業PMIの改善が進んでいますが、両国でも持ち直しが見られることが景気循環図に反映されました。中国では3月の全国人民代表大会で示された財政出動の影響が出てきているものと思われます。ただし、国営企業の設備投資が伸びている中で、民間企業の設備投資は停滞しています。また、中国の李克強指数は今年急低下しています。電力消費量や鉄道貨物輸送量が落ち込んでおり、民間の生産活動や消費に関連する経済の動きは鈍いようです。中国の強権的な体制下で官から民へ回復の主体が移れるか、注意が必要だと思われます。