2024年3月 ベアリングス・グローバル・マクロシナリオ
ベアリングス・ジャパンでは、世界経済の中長期的な景気循環や構造変化を捉え、今後1年から1年半程度の時間軸で想定されるいくつかの経済シナリオを洗い出し、運用戦略の点検を複眼的な視野から行っております。今回、マクロシナリオの見直しを行いましたので、以下の通りご案内いたします。
1. 2024年3月時点のベアリングス・グローバル・マクロシナリオと、今回のシナリオ策定の着眼点
今回の4つのシナリオは、「急降下」「ソフトランディング」「インフレ時代突入」「分断化進行」としました。従来の「急減速」「日本化再来」シナリオを除外し、新たに「急降下」「分断化進行」シナリオを組み入れました。足元では米国経済の底堅さが維持される一方、中国や欧州では景気の減速感が鮮明となっています。米中対立の深刻化とともに、世界経済の分断化、二極化の様相は一段と進展すると見られ、「分断化進行」の実現性はより一層高まっていると考えます。一方で、世界経済が景気後退を回避し、軟着陸に向かうという見解が強まる中、累積的な引き締め効果や、中国経済の脆弱さが先進国へ波及するリスクを勘案すると、世界経済が回復力が急速に衰え、「急降下」する展開も予想されます。最悪の場合、コロナ前に見られた長期停滞懸念が再び台頭する状況にも注意が必要となる展開も想定されます。また、緩やかな雇用市場の減速や需要鈍化によりインフレ懸念が鎮静化することに伴い、中央銀行が予防的な利下げを実施し、引き締め過ぎのリスクを軽減できれば、景気の「ソフトランディング」の達成が可能になると考えます。一方で、米大統領選挙を筆頭に世界的に重要な選挙が控え、大きな政府を志向し、政府支出の拡大がインフレの抑制を妨げるリスクがあることに加え、人口減少や不法移民対策に伴う構造的な労働需給のひっ迫によりサービス価格の粘着性が残り、物価が高止まりする「インフレ時代突入」の可能性も依然として念頭に置く必要があると見ています。
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