2025年1月 ベアリングス・グローバル・マクロシナリオ
ベアリングス・ジャパンでは、世界経済の中長期的な景気循環や構造変化を捉え、今後1年から1年半程度の時間軸で想定されるいくつかの経済シナリオを洗い出し、運用戦略の点検を複眼的な視野から行っております。今回、マクロシナリオの見直しを行いましたので、以下の通りご案内いたします。
1. 2025年1月時点のベアリングス・グローバル・マクロシナリオと、今回のシナリオ策定の着眼点
今回の4つのシナリオは「急降下」「ソフトランディング」「ノーランディング」「スタグフレーション」としました。新たに「ノーランディング」「スタグフレーション」シナリオを加え、米国新政権が経済に前向きな変化をもたらすのか、逆に経済主体のマインドを阻害するのか、相反する両面を「光と影」とし、シナリオの考察を行いました。
「光」の面では、財政拡張や規制緩和により米国経済が好調を維持し、世界経済もその恩恵を受ける展開です。株式市場も好意的に反応し、資産効果から消費も好調を維持。金融政策が引き締め的であるにもかかわらず、景気減速が生じない「ノーランディング」の展開に至ります。「影」の面では、関税引き上げや移民流入制限によりコストプッシュインフレが再燃。保護主義の蔓延によって、世界経済全体は縮小均衡に至り、景気後退懸念と物価上昇が共存する「スタグフレーション」に陥ります。
一方、物価安定の目標達成に近づく軌道は崩れず、雇用市場の減速や需要の減退からインフレ懸念が鎮静化するとともに、中央銀行が過度な引き締めを状態を軽減することによって景気の腰折れが回避できる、景気の「ソフトランディング」が実現する公算も引き続き高いものと予想されます。また、これまでの累積的な金融引き締めが中央銀行の意図を超えた効果を発揮し、信用収縮と需要消失にまで至れば、ソフトランディングの軌道は大きく下振れ、経済の急減速を招く「急降下」シナリオが実現する可能性が浮上します。