2025年3月 ベアリングス・グローバル・マクロシナリオ
ベアリングス・ジャパンでは、世界経済の中長期的な景気循環や構造変化を捉え、今後1年から1年半程度の時間軸で想定されるいくつかの経済シナリオを洗い出し、運用戦略の点検を複眼的な視野から行っております。今回、マクロシナリオの見直しを行いましたので、以下の通りご案内いたします。
1. 2025年3月時点のベアリングス・グローバル・マクロシナリオと、今回のシナリオ策定の着眼点
今回の4つのシナリオは「トランプスランプ」「ソフトランディング」「財政バズーカ」「スタグフレーション」としました。従来の「急降下」「ノーランディング」シナリオを除外し、新たに「トランプスランプ」「財政バズーカ」シナリオを組み入れました。
米国のトランプ政権の打ち出す自国第一主義は、米国がこれまで築き上げた自由貿易体制、安全保障の枠組みを崩壊させ、国際秩序の混乱をもたらしています。不安定な世界経済の歩みにもかかわらず米国だけが繁栄を続けてきたことから主張されてきた米国例外主義に対する懐疑的な見方が強まっています。「トランプスランプ」はトランプ政権がもたらす不確実性が企業の投資や家計消費を冷え込ませ、景気後退色が強まるシナリオです。また、「財政バズーカ」では、地政学的リスクや自国第一主義が高まる中で米国の安全保障への関与が低下し、欧州を筆頭に軍事費拡大を契機として各国が財政拡張を加速させると想定します。一方、関税引き上げや移民流入制限によりコストプッシュインフレが再燃するとともに自国第一主義が蔓延し、世界経済の縮小均衡を招いた結果、景気後退と物価上昇が同時進行する「スタグフレーション」シナリオを念頭に置く必要性は残されています。もっとも、日本を除き、世界的に中央銀行の金融政策が利下げ局面にある中で、金融引き締め効果が低減され、雇用市場の減速や緩やかな需要の減退によってインフレ懸念を鎮静化することができれば、景気の「ソフトランディング」が実現する可能性も残ります。