2025の展望: ダイレクト・レンディング
今後1年間のグローバルのダイレクト・レンディング市場を形成する可能性が高いトレンドやリスク、投資機会について、ベアリングスの投資プロフェッショナルが議論します。
ジュリアン・ルーシー(モデレーター):前米大統領であるドナルド・トランプ氏が2025年初に米大統領に就任することから、同政権における政策が投資家およびマネジャーの間で注目されると思います。今後、ダイレクト・レンディング市場に影響を及ぼす可能性のある重要なテーマについて教えて下さい。
タイラー・ゲートリー:今回の米大統領選挙は、両陣営共に現職候補としての勢いが感じられるという点で異例であり、多くの市場参加者は、選挙の結果が市場に及ぼす影響について、かなり正確な見通しを持っていました。次期政権は規制緩和に重点を置いたビジネス寄りな政権になるとの見方が一般的であり、これは多くのミドルマーケット企業にとって支援材料になるものと思われます。関税は重要な問題として注目を集めていますが、北米のミドルマーケット企業の多くは米国内に焦点を当てています。その意味においては、関税がこれらの企業に直接的な影響を与える可能性は低く、サプライチェーンやより広範な経済全般に甚大な影響を及ぼす可能性の方が高いと思われます。
スチュアート・マティソン:関税は欧州においては注目すべき重要な問題となります。その規模や影響範囲は未だ不透明であるものの、貿易額に対して影響を与える可能性が高いと思われます。インフレ率が上昇し、それによって金利は長期に亘り高い水準で維持される可能性があります。これは特に欧州企業にとって歓迎されるシナリオではなく、企業のキャッシュフローに対して悪影響を及ぼす可能性があるものの、ミドルマーケット全体としては比較的健全であり、殆どの取引には厳格な契約と構造的保護が備わっていることから、ポートフォリオに生じるあらゆる課題に対処する上で、マネジャーを支援することが可能となります。