2024年 不動産市場見通し
不透明な状況の中、今日の最大の課題に焦点を当てるとともに、米国、欧州およびオーストラリアで生じている投資機会について、ベアリングスの不動産デットおよび不動産エクイティの投資プロフェッショナルが解説します。
モーリーン・ジョイス(モデレーター):金利の上昇が不動産にどのような影響を与えてきたのか、また「より長期的により高い金利水準(HIGHER-FOR-LONGER)」の可能性について、説明してください。
ジョン・オッカーブルーム:金利の大幅な上昇を背景に、2023年の米国不動産市場全体の取引額は大幅に減少しました。リスクフリー・レートの倍増というシステムに対する打撃により、買い手と売り手の間に価格ギャップが生じ、その結果、取引パイプラインは近年の平均を60%ほど下回った水準となっています1。さらに、米国のプライベートおよびパブリック不動産市場において、バリュエーションの調整が続いていると見ています。
今後も金利は長期的に高水準に留まり続ける可能性があるものの、これは不動産にとって必ずしも悪いことばかりではありません。例えば、足元では物価は上昇し続けているものの、資材や労働力コストはある程度落ち着き始めているため、不動産の開発および再開発活動は恩恵を受けてきました。また、金利の変動により米国国債が4%前後で推移していますが、これは安定性を示唆しており、長期的な平均と一致していると確信しています。
ニック・ピンク:金利の大幅な上昇により、市場は確実に衝撃を受けましたが、多くの欧州諸国ではインフレ率が目標値に向かって低下してきました。今後1年間、金利が2021年の水準に戻る見込みはほとんどありませんが、金利不安はここ数ヶ月で緩和してきました。このような背景から、2023年に低迷した欧州不動産の取引額は、2024年には回復すると思料されます。
1. 出所: Barings Real Estate Research 2023年9月30日現在