ベアリングスの「5つのインサイト 2022年秋」
ベアリングスの「5つのインサイト 2022年秋」について、先進国ソブリン債券チームの溜 学(たまる まなぶ)が解説します。
2022年度上期は米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)といった日本を除く主要先進国の中央銀行が金融引き締めを行い、インフレ退治の断固たる姿勢を鮮明にしました。ただし、世界を俯瞰すれば、地域ごとの異なる事情が浮き彫りになっています。モノのインフレが収まり始めた米国では、これ以上の金融引き締めがもたらす景気減速への懸念も睨みつつ、FRBは過去のインフレ抑制の失敗例を引き合いに引き締め強化の姿勢を崩していません。
一方、欧州では、地政学的なリスクと天候不順があいまって物価の上昇基調は持続していくとの見方が強く、政府がインフレの根本原因であるエネルギー価格抑制に動き始めました。また、日本では、賃金上昇の弱さが物価の上昇を相対的に低いものにしていますが、円安が招く輸入物価の上昇は日銀の異次元緩和の有効性に疑義を生じさせます。
新興国では、金融引き締めの着手時期の違いやエネルギーの調達構造の違いで政策対応が分かれ、とりわけ中国では、独自のゼロコロナ政策が総需要の急減を招き、不動産や国営企業中心の経済発展に急ブレーキをかけています。
2022年秋のベアリングスの5つのインサイトでは、各国の異なる事情を念頭に、予想される金融政策および財政政策の国ごとの違いが市場へ及ぼす影響を展望し、グローバル債券投資戦略の5つの柱をお示しします。