2025年の展望:グローバル債券
マクロ環境や、政治、地政学が変化する中、ベアリングスの債券ポートフォリオ・マネジャーが、ハイイールド社債、新興国債券および投資適格社債の今後の展望について議論します。
コリン・ゴードン:2025年の見通しを考える上で、米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利は、多くの投資家にとって重要な要素となっています。第2次トランプ政権が誕生したとき、各市場に対してどのような影響が考えられますか?
ブライアン・パチェコ:第2次トランプ政権は概してより成長の加速と規制の緩和を促進する可能性があると思われ、米国ハイイールド市場においては、選挙後に同シナリオを早急に織り込んだ動きを見せました。セクターの観点においては、トランプ氏の政策がエネルギーに与える影響について注視しています。選挙後にエネルギー相場は上昇したものの、いわゆる「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」というトランプ氏のシナリオが、エネルギー・セクターにとって必ずしも良い結果をもたらすのかは不透明であり、供給が大幅に増大するかについても同様です。特に近年のエネルギー供給は、規制よりも価格が主な決定要因となっています。もちろん、需要や地政学的要素についても、影響を及ぼす要因となり得ます。
リカルド・アドロゲ:地政学的な観点においては、米大統領選挙が終結した今、リスクは低下しているという見方があります。特にロシア・ウクライナや中東における紛争に関して、ある程度その通りになる可能性がありますが、それぞれの地政学的な危機を取り巻く複雑な要因を考慮した場合、市場が過度に楽観的になっているという懸念を常に抱いています。
オモチュンデ・ラワル:新興国と欧州の企業にとっては、関税がトランプ2.0(次期政権)における主要な不確実性の要因であり、私たちもこれを注視しています。新興国市場において、中国は最大の未知数であり、世界経済にとって最も重要な存在です。トランプ第1次政権下においては、中国から世界の他の地域への貿易構造の再編成が確認されました。今後、世界的な関税の引き上げ合戦において、新興国において勝者と敗者が生まれると予想しています。コモディティ輸出国や国内経済が堅調な国はある程度の耐性を示すと思われる一方、市場は中国が経済的に反撃できる余力、および実際に反撃するであろう程度の大きさについて、過小評価している可能性があります。